パニック障害や不安が強い方の中には、息苦しさや動悸だけでなく、胃が張る、みぞおちがつかえる、吐き気がする、お腹が落ち着かない、といった胃腸の不快感を感じる方もいます。
不安や緊張が強いと、呼吸が浅くなったり、胸や肩に力が入ったりするだけでなく、お腹まわりもぎゅっと固まりやすくなります。
今日はパニック障害のセルフケアとしては3つめの「お腹もみ」を紹介したいと思います。
お腹もみは、発作を治すためのものではありません。
「今、お腹に力が入っているな」「みぞおちがつかえているな」と気づいて、少しずつ身体をゆるめるためのセルフケアとして取り入れやすい方法です。
▽これまでのセルフケア記事もぜひご覧ください▽
お腹もみは血流を良くするケア
さて、人間の身体にとって血流がいいことが大事なのはご存知だと思います。
血液は全身の細胞に酸素や栄養を運び、老廃物を流してくれるものです。
その血液の流れ=血流が滞ってしまい、身体に不調が出てしまうことを東洋医学では「血瘀(けつお)」と言います。
また、そもそも身体をうるおし養う「血」が不足している状態を「血虚」と言います。
血のめぐりが悪いのか、血を作る力が弱っているのか。
実際には体質や状態によってさまざまですが、お腹の硬さや冷えは、自分の身体の状態に気づくためのひとつのサインになります。
これから紹介する「お腹もみ」はこの2つのタイプを両方とも目的としますので、ぜひチェックしてくださいね。
お腹もみは昔から日本で行われていたケア
お腹を揉むことを、昔の日本では「按腹(あんぷく)」と言いました。
江戸時代の漢方医はお腹の硬さをさわって確かめて、お腹がやわらかくなるように按腹をしたり、漢方薬を処方したりしていたようです。現在の鍼灸師にも「腹診」といってお腹から情報を得る人がいます。
赤ちゃんのお腹のように柔らかく、軽く指で押したときに心地よい弾力を感じるのが、血流が良好で健康なお腹だとされます。
なぜお腹は柔らかいほうがいいの?
私たちが俗に言う「お腹」の中には色々な内臓がありますし、動脈や静脈などの大血管も存在しています。

お腹が硬い原因のひとつに、冷えて動きが悪くなっている可能性があります。胃や腸は、筋肉の働きによって動いているので、冷えや緊張があると、お腹まわりが硬くなってしまうことがあるのです。
また、他の原因には、内臓脂肪や皮下脂肪が増えたせいでお腹の筋肉や腸の動きが制限されているという可能性もあります。この場合も血流やリンパの流れに影響が出てしまうことがあります。
このような原因から、お腹が硬いときは「血流が悪くなっているかも?」と考えるきっかけとなるサインだということができます。
ただ、このお腹の硬さは外からの物理的なマッサージ(もみほぐし)でも柔らかくできるというのが、今日私が一番お伝えしたいところです。
お腹もみの方法
もむ場所は下のイラストの部分を目安に、硬かったり張っているようなところを探していってください。

もむのは両手の指先で行います。硬いなと感じるポイントまで圧をかけていき、指先で時計回りに気持ちいいぐらいの強さでもみほぐしてみてください。
一箇所につき1分くらいもむと、その部分が少しやわらかくなったのを感じると思います。
※もむポイントに興味がある方は、下の解説も読んでみてくださいね。
①十二指腸の反応点
へその右(自分から見て)約2センチメートルの場所です。ここは東洋医学でいうと、小腸の入り口となる十二指腸の反応が現れるところです。
②腹大動脈の点
へその左(自分から見て)0センチメートル、ほぼキワの場所です。
この奥には、腹大動脈という大きな血管が通っています。人によっては、軽く触れるだけでドクドクと脈を感じることもあるでしょう。
ここにはっきりとした拍動を感じる場合は、他の場所よりも優しくもむようにしてください。
③下行結腸の点
へその左斜め下のところです。何センチかは体格によって異なるので、硬い場所を探してみてください。
ここは大腸で作られた便が通ってきて、最後に肛門から出る手前の腸(下行結腸)があるところです。便秘の人は特に硬く感じるかもしれません。
お腹もみをやったほうがいい時間、やってはいけない時間
おすすめは、夜布団に入ってから寝る直前に行うことです。
お腹をもんでいるうちに気持ちよくなり、そのまま寝てしまえるのが便利だからです。もしかしたら寝つきが良くなったと感じる方もいるかもしれません。
逆にお腹もみをやってはいけない時間は、食後すぐから1時間半くらいです。食べたばかりのお腹は張っていることも多いので、痛く感じてしまうかもしれないからです。
お腹もみとあわせると効果的な習慣
この記事の冒頭に次のことを書きました。
「血のめぐりが悪いのか、血を作る力が弱っているのか。」
お腹もみを行うとお腹が少しやわらかくなったり、温かく感じたりして、お腹の冷えや血流が促されたと感じます。
しかし、これは対症療法であって、原因療法とは言えません。
特に「血を作る力が弱っている」タイプの場合には、胃腸の状態を健康にして、飲食物と消化と吸収を十分に行なっていく必要があると思います。
そこで、お腹もみとあわせて提案したいのが「よく噛むこと」です。
食べ物をよく噛むと唾液が十分に出るので、胃腸の負担が減ってはたらきが活発になり、消化を助ける効果が期待できます。
いきなり「ひとくちにつき30回噛むぞ!」と決心しても続かないことが多いので、まずは気づいた時に「今よりプラス10回」噛んでみることをおすすめします。
健康な胃腸のために、「お腹もみ」と「よく噛むこと」、ぜひやってみてくださいね。
そうして小さなセルフケアを積み重ねながら、少しずつ「大丈夫かもしれない」と思える身体を一緒に育てていけたら嬉しいです。
RUISA