まずはじめにお伝えしたいのは、胸まわりをゆるめて、呼吸を少し楽にするためのケアです。

このセルフケアが使えるようになると、「なんだか呼吸が浅くなってきたかも」「息が苦しくなりそうな気がする」というタイミングで、自分でできることがひとつ増えます。

パニック障害の発作が起きそうなときに対処法として深呼吸を進められることがありますが、いきなり深呼吸をしようとしても上手にできないことがあります。

そんなときは、呼吸そのものをがんばる前に、胸まわりの緊張を少しゆるめてあげるのもひとつの方法です。

さっそくやっていきましょう。

鎖骨と肋骨のスクラッチ

今回ケアする場所

今回ケアするのは、鎖骨と、第1〜第4肋骨のまわりです。

鎖骨と肋骨の内側には肺があります。
鎖骨と肋骨に付く筋肉をほぐすことで、呼吸をしやすくしていきましょう。

鎖骨は比較的わかりやすいと思いますが、肋骨はふだんあまり意識しない場所かもしれません。
私も、鍼灸学校に入るまで、自分の肋骨をこんなに気にしたことはありませんでした。

第1肋骨は、鎖骨のすぐ下です。まず鎖骨を確認してから、その下にある第1肋骨をさわってみてください。

ただし、鎖骨に隠れるような位置にあるため、はっきり触れにくいこともあります。無理に押し込まず、「このあたりかな」くらいで大丈夫です。

「これが骨なのかどうかわからない」という場合は、その骨のようなものの上にある皮膚を上下に動かしてみるとはっきりしてきます。

そこから下に向かって、第2肋骨、第3肋骨、第4肋骨と探していきます。

乳頭の位置には個人差がありますが、目安として第4肋骨の少し下あたりにあると考えると探しやすいです。

ケアの方法

左の胸をケアする場合は、右手を使います。

右手の親指と人差し指で、軽く○を作ります。
その指先を使って、鎖骨の下の骨ぎわを、身体の内側から外側へ向かってスクラッチしていきます。

このとき、爪を立てて表面の皮膚を傷つけるのではなく、指先を少し深く入れて、骨ぎわを動かすようにしてみてください。

鎖骨の下を行ったら、次に第1肋骨、第2肋骨、第3肋骨、第4肋骨の下の骨ぎわも、同じように内側から外側へ向かってこすっていきます。

強さは、少し「痛気持ちいい」くらいまで。
強くやりすぎる必要はありません。皮膚が赤くなりすぎたり、痛みが残ったりする場合は、力を弱めるか中止してくださいね。

乳頭のラインを過ぎたあたりで、少しジーンとするような感覚が出てくると思います。(わからなくても大丈夫です)

終わったあとのチェック


左側をひととおりケアしたら、一度呼吸をしてみてください。

左の胸だけ、少し息が入りやすくなったように感じる方もいるかもしれません。
よくわからなくても大丈夫です。感覚には個人差があります。

次に、左手を使って右の胸も同じようにケアしてみてください。

呼吸は、パニック障害の方にとってとても大切な要素です。

「発作が起きそうになったら深呼吸をしてください」と言われても、焦っているときには上手くできないこともあります。

そんなときは、無理に深く吸おうとする前に、胸まわりをやさしくゆるめるところから始めてみてください。

最後に

セルフケアは、やる前とやった後の身体の違いに目を向けることも大切な要素のひとつです。

セルフケアをした後は、ぜひ身体の感覚に耳を澄ませてみてください。

そうして小さなセルフケアを積み重ねながら、少しずつ「大丈夫かもしれない」と思える身体を一緒に育てていけたら嬉しいです。

RUISA

注意すること

強い胸の痛み、いつもと違う息苦しさ、冷や汗、痛みが腕・背中・首に広がる感じがある場合は、セルフケアで様子を見ず、医療機関に相談してください。

このセルフケアは、医療行為ではなく、日々の身体を整えるためのものです。

ケアをしていて不快感が強くなる場合や、症状が悪化する感じがある場合は、無理をせず中止してください。