前回は、身体をうるおし養う「血」が不足しているような状態「血虚」について書きました。
今回は同じ「血」の話でも、少し視点を変えて
「血のめぐり」に注目してみたいと思います。
東洋医学では「血」のめぐりが滞っているような状態を「血瘀」として見ます。
「血虚」と「血瘀」の違い
「血瘀」は、「血」がうまくめぐらずに滞っているような状態です。
その原因としては、冷えによる血流悪化、コレステロールや中性脂肪による血流悪化などがあると言われています。
また、「血」は「気」の力によって全身に送り出されていると東洋医学では考えますので、気の不足も原因となり得ます。
血虚と血瘀はどちらも「血」に関する状態ですが、養生の方向性は少し違います。
血虚では、身体を養うことが大切。
血瘀では、滞った血のめぐりを動かすことが大切。
この違いを知っておくと、薬膳やセルフケアを選ぶときに役立ちます。
パニック障害や不安と「血瘀」
パニック障害や不安が強い方は、日常的に身体が緊張しやすいことがあります。
- 首や肩がこる。胸がつまる。
- みぞおちが硬い。
- お腹が張る。
- 手足が冷える。
- 呼吸が浅くなる。
こうした「身体がぎゅっと固まる感じ」は、不安がある方にとって身近な感覚かもしれません。
東洋医学では、
ストレスや緊張が続くと「気」のめぐりが滞り、その影響で「血」のめぐりも悪くなりやすいと考えます。
つまり、血瘀は単に血液だけの話ではなく、
「緊張で身体がこわばり、血のめぐりが滞っている状態」を見るためのひとつの視点として使うことができます。
血瘀のサイン
血瘀のサインとしては、たとえば次のようなものがあります。
- 肩こりや首こりが強い
- 冷えやすい、寒がりである
- 身体のどこかにチクッとするような鋭い痛みがある
- 身体のどこかに夜間になると痛むところがある
- シミや皮膚の黒ずみが増えた気がする
- 皮膚がざらざらして、乾燥が目立つ
- 舌や歯茎の色が紫色っぽい
- お腹やみぞおちが硬く感じる
特に女性は月経がありますので、月経時に血の塊があるときも血瘀のサインとして見る場合があります。
もちろん、これだけで体質を決めることはできません。
あくまで、自分の身体の状態を観察するための目安として見てみてください。
血瘀を改善する食材
血瘀の養生では、気を巡らせる「理気類」や、血の塊を散らせる「活血類」を取り入れていきます。
| 分類 | 食材 |
|---|---|
| 理気類 | 茉莉花、玫瑰花、陳皮、青皮、枳実、枳殻、仏手、そば、たまねぎ、らっきょう、みかん、金柑、オレンジ |
| 活血類 | 紅花(サフラワー)、番紅花(サフラン)、鬱金(ターメリック)、川芎、姜黄、こんにゃく、アスパラガス、なす、みつば、らっきょう、れんこん、はまなすの花、くわい、黒きくらげ、酢 |
一見すると聞いたことのない食材があるかもしれませんが、「理気類」には柑橘類が多いですね。
また、「活血類」にはスパイスがいくつか挙げられています。
ここで少し注意したいのが、その食材が「温性」「寒性」どちらなのかです。
▽詳しくはこの記事をご覧ください。▽
温性:紅花(サフラワー)、酢
涼性、寒性:番紅花(サフラン)、鬱金(ターメリック)、なす
のようになっておりますので、ご自身の体質に応じて選んでみてくださいね。
たとえばこんな薬膳
日常の食事として取り入れるなら、まずは身近な食材から始めるのがおすすめです。
血瘀を支える薬膳では、「めぐらせる」ことを意識します。
たとえば、たまねぎとなすの味噌汁。
そこにみつばを少し添えると、香りも加わって気のめぐりを改善する薬膳になります。
また、活血類のメニューとして一番手軽なのが「パエリア」です。
スーパーで小さい袋で売っているパエリアの素(シーズニング)を見たことがある方もいると思いますが、あのシーズニングの中にはサフランとターメリックが入っているのです。
というわけで、そのパエリアのシーズニングを炊飯器に入れてお米を炊けば血瘀の薬膳になります。
お好みに応じて具材を追加してもより美味しいですよね。
日常的な炒めものに、少し酢を使うのもよいと思います。熱を入れると酢の風味はほとんど飛んでしまうので、酢が苦手な方も食べやすいと思います。
※ここで少し注意していただきたいのが、最近流行っている「飲む」酢です。
一気に酢をたくさん飲むと胃への刺激が強すぎるので、ドリンクとして飲むよりは料理に混ぜてしまう方がおすすめです。
また、食後にみかんなどの柑橘類を取り入れるのも、めぐりを助ける薬膳として使いやすい方法です。
めぐらせる前に、まずゆるめる
血瘀の養生というと「めぐらせる食材を食べよう」と考えたくなります。
もちろん食材も大切ですが、
不安や緊張が強い方の場合、まずは身体をゆるめることも大切です。
肩に力が入りっぱなし。
呼吸が浅い。
お腹が固い。
歯を食いしばっている。
そんな状態のままでは、身体はなかなかめぐりにくいかもしれません。
だからこそ、
- 胸をゆるめるマッサージ
- 舌はがしマッサージ
- お腹もみなどのセルフケア
- 薬膳
など様々な観点からの養生を組み合わせていくことが大切と考えています。
食べもので内側から支え、セルフケアで身体の緊張に気づいてゆるめる。
その両方を少しずつ積み重ねていくことが、touch treeの養生です。
小さなセルフケアを積み重ねながら、
少しずつ「大丈夫かもしれない」と思える身体を一緒に育てていけたら嬉しいです。
RUISA