まずはパニック障害とはどういった症状なのか、基本に戻って調べてみることにしましょう。

厚生労働省のHPによると、まずはパニック障害を「不安障害」の中の1つとして位置付けています。不安障害は、精神的な不安から、心と身体に様々な不快な変化が起きるものを言います。

パニック障害の症状は「パニック発作」と「予期不安」の2つに大きく分けられます。

パニック発作とは

突然理由もなく激しい不安に襲われて、心臓がドキドキする、めまいがしてふらふらする、呼吸が苦しくなるといった発作が起こります。具体的には以下のようなものです。(厚生労働省)

  • 動悸がする、心拍数があがる
  • 汗が出る
  • 体が震える
  • 息切れがする、息苦しい
  • 窒息する感じがする
  • 胸が痛い、胸苦しさがある
  • 吐き気、おなかの苦しさ
  • めまい、ふらつき、気が遠くなる感じ
  • 現実でない感じ、自分が自分でない感じ
  • 自分がコントロールできない、変になるかもしれないことへの恐怖
  • 死ぬことへの恐怖
  • 感覚まひ、うずき
  • 冷たい感覚、あるいは熱い感覚がする

これらの症状がいくつか(4つ以上)同時に起こりますが、通常は数分から数十分程度で収まります。

このパニック発作がくり返し(2回以上)起こり、もっと発作が起こるのではないかと心配したり、発作を避けるために何か行動を変化させたりしている(1ヶ月以上)場合にはパニック障害を疑います。

※診断は医師が行うものです。

※動悸、息苦しさ、胸の痛み、めまいなどは、身体の病気でも起こることがあります。初めて症状が出たとき、症状が強いとき、いつもと違うと感じるときは、自己判断せず医療機関に相談してください。

予期不安とは

予期不安は、一度パニック発作を経験した後に、また同じような発作が起こるかもしれないという不安が起こることです。

予期不安を感じると、電車、高速道路、人混みを避けたり、頼れる人がいない状況や一人で出かけることを避ける、あるいはエレベーターなど逃げられない場所を避けるようになることがあります。

このように、パニック発作の経験と共に、発作を避けるために何か行動を変化させたりしている状況にある場合には、パニック障害を疑います。

どうしてパニック障害になるの?

パニック障害をはじめとする不安障害の原因は、まだ十分には解明されていません。

ただ、これまでの研究から原因の一つとして、不安に関係する神経系の機能異常に関連していると言われているようです。以下に日本精神神経学会のHPから、塩入俊樹先生という方の説明を引用します。

まず、パニック障害の患者さんには、体質的に延髄にある中枢化学受容器という器官に過感受性があると推測されています。この器官は二酸化炭素(CO2)を感知する働きを持っています。そのため、パニック障害患者さんでは睡眠中や安静時など、ほんのわずかなCO2の上昇を酸素不足と捉えてしまい、呼吸促進や心悸亢進などの身体症状が生じてしまいます。

 そしてこれらの身体症状の情報は、危険を察知し、それを回避する防御装置の役割を担っている扁桃体という器官に伝わります。そこで扁桃体は、この状態を“生命に危機的な状況”と間違って認識し、危険を回避させるために交感神経を亢進させるなどして、さまざまな身体の反応を起こさせます。具体的には、動悸・呼吸困難感・窒息感・発汗・ふらつき・震え、などです。これらの状態は急激(数分以内)に出現しますので、「パニック発作」といいます。

難しい言葉が多いので私なりに説明してみますね。

人間の後頭部(ちょうど頭と首のつなぎ目あたり)には延髄という器官があります。延髄は脳幹(脳の一部)です。

その延髄には化学受容器という「二酸化炭素の増加」を感知する器官があります。

パニック障害の方はこの化学受容器が敏感になってしまっているので、ほんのわずかなCO2の上昇を酸素不足と捉えてしまい、酸素を取り込めという指令を出し、そのせいで動悸が激しくなったりするようです。

また、「二酸化炭素の増加」は生命にとって危機と判定されるため、その危機を回避させるために交感神経を亢進させるなどして、さまざまな身体の反応を起こさせます。それがパニック発作の症状と説明されています。

どんな人がなるの?

パニック障害は、一生のうちで全人口の2~3%の人がなり、好発年齢は20~30歳代で、女性が多いとされています(男性の約2倍です)。

近年では、芸能人やスポーツ選手などがパニック障害を公表することもあり、以前よりも少しずつ知られるようになってきました。ただ、パニック障害は特別な人だけに起こるものではなく、誰にでも起こりうるものです。

一般的には、まじめで責任感が強い方、がんばりすぎてしまう方、周囲に気を配る方などが、パニック障害になりやすい傾向として語られることがあります。

ただし、パニック障害は性格だけで起こるものではありません。体質、ストレス、生活環境、睡眠、身体の状態など、さまざまな要因が重なって起こると考えられています。

そのため、本人も周囲の人も、「性格のせい」「気の持ちよう」と考えすぎないことが大切です。

どんな治療法があるの?

パニック障害の治療では、薬物療法や認知行動療法などが行われます。

薬物療法では、抗うつ薬や抗不安薬などが使われることがあります。薬について不安がある場合や、減らしたい・やめたいと思った場合は、自己判断で中止せず、必ず主治医の先生に相談することが大切です。

また、認知行動療法では、発作に対する考え方や、避けている行動との付き合い方を少しずつ見直していきます。

パニック障害では、「また発作が起きたらどうしよう」という予期不安や、「発作が起きそうな場所を避ける」という回避行動が、日常生活を狭めてしまうことがあります。

そのため、医療のサポートを受けながら、日々の生活の中で自分の身体を落ち着かせる方法を持っておくことも、回復を支える大切な土台になると感じています。

このサイトでは、呼吸、首肩、背中、お腹、手足など、身体から安心感を育てていくためのセルフケアも少しずつ紹介していきます。

今回は、パニック障害の基本についてまとめました。

参考:厚生労働省「こころの病気について知る」/MSDマニュアル家庭版/日本精神神経学会 など