会食恐怖症とは、人前でご飯を食べることに対して耐えがたい不安や恐怖を抱き、
実際の会食の場面では下記のような様々な症状が現れることがあります。
- 吐き気
- めまい
- 動悸
- 嚥下障害(食べ物を飲み込みにくい・飲み込めない)
- 身体の震えなど
私自身、ある友人が会食恐怖症であるということを打ち明けてくれるまでは、その詳細までは知りませんでした。
会食恐怖症は、正式な診断名というよりも、人前で食事をする場面に強い不安や恐怖が出る状態を指して使われることが多い言葉です。
医学的には、社交不安症の一つとして考えられることがあります。

社交不安症:不安障害の一つで、他人から注目される状況で強い恐怖や不安を感じる。対人緊張や赤面症も該当すると言われる。

会食恐怖症では、「食べられなかったらどうしよう」「吐き気が出たらどうしよう」「周りに変に思われたらどうしよう」といった不安が強くなり、実際の会食場面で吐き気や動悸、震えなどの身体症状が出ることがあります。
このように、予期不安や身体症状、回避行動が関係する点では、パニック障害と重なる部分もあると感じます。
治療や支援としては、社交不安症と同じように、認知行動療法や、必要に応じた薬物療法などが用いられることがあります。
今日はまず、会食恐怖症について知りたいと言う方にこちらの本を紹介したいと思います。
会食恐怖症を卒業するために私たちがやってきたこと 山口健太著
こちらの著者の方は、ご自身も会食恐怖症に苦しんだ過去を持ち、
現在は「一般社団法人 日本会食恐怖症克服支援協会」という組織を立ち上げて、相談事業や学校への給食指導などをされています。
会食恐怖症のきっかけは?
この本には、会食恐怖症の原因・きっかけには
学校や家庭における『完食指導』の影響があると答えた方が60%以上いるというアンケート結果が掲載されています。
最近は見直されてきている部分もあると思いますが、昔の小学校などでは給食を残さず食べる完食指導が行われていたことは容易に想像できることです。
また、家庭でも「残さず食べる子がいい子だ」「食べ物を粗末にするのは悪いことだ」という考え方をする保護者の方は結構多いのではないでしょうか。
そもそも食欲はリラックス つまり 副交感神経が優位にならないと湧き起こらないものです。生きるか死ぬかの状況では食欲が湧かないのは当然ですよね。
それなのに、先生や親に残さず食べなさいというプレッシャーをかけられた状況では、ますます食べられなくなってしまい、そのうちに食事の時間自体が恐怖の対象になってしまうことがあるようです。
著者は「なぜ食育の中で、食事指導というコンテンツだけは発展しないのだろう?」と疑問を呈します。
完食を強要してしまうのは先生や保護者のせいではなく、適切な食事指導の方法が社会に浸透していないからだと著者は主張しています。
会食恐怖症になった自分はダメ?
著者は、まずは自分が会食恐怖症かもしれないということをそのまま受け止めることが大事だと言います。
ここで大切なのは、会食恐怖症である自分について自己肯定感を下げる必要はないということです。
たとえば風邪を引いた時に「私は風邪を引いた、なんてダメなやつなんだ」とは思いませんよね?
むしろ「風邪を引いたから、栄養をしっかり摂って、たっぷり寝て、しっかり休んで早く治そう」と思うのではないでしょうか。
会食恐怖症についても、そのように考えて、自己肯定感を下げる必要はないということです。
会食恐怖症になったらどうする?治し方は?
この本では、「会食恐怖症は会食を避けているうちは治りません。」と言います。
これは少しドキッとするメッセージかもしれません。
ただ「会食」という行為は避けようと思えば避けることもできてしまうので(日常に不便や支障は生じると思いますが)
ずっと会食を避け続けてしまうことで、
結果としていつまでも治らない状況が続いてしまう可能性がある、という意味で言っているのだと思います。
しかし、だからと言って無理矢理に会食に出向いても、上で挙げたような症状が出て苦しんでしまうかもしれません。
そこで著者は、克服のための3つのポイントを掲げています。
- 正しい手順で会食の練習をする
- 前向きな考え方を身につける
- フローで過ごすための習慣を身につける
ここで大切なのは一つ目の「正しい手順で」ということだと思いますので、ぜひ必要な方は本で詳しく確認してみてください。
また、あとの二つはこれまでの考え方の癖を、生きやすいように書き換えていくためのプロセスなので、
再発防止のために、もっと言えば幸せな人生のためにも取り組む価値があることだと感じます。
周りの人はどうやってサポートすればいい?
会食恐怖症に悩んでいる人を支えたいと思ったときに一番大切なのは、
「周り」や「普通」と比較しないことだと言います。
また、「もっとこうしたらいいんじゃない?」など善意でアイデアを提供するつもりで、克服を迫るようなプレッシャーを与えることも良くありません。
「食べられなくても大丈夫だよ」というスタンスで、その方のそのままの状態を受け止めてあげることを心がけることが大切だと書かれています。
そしてもう一つ大切なのは、会食恐怖症の方のことを心配しすぎないようにすることです。
「少し治ってきたかな」「ああまたやっぱりダメだったか」といった周りの人の一喜一憂は、本人に対してもプレッシャーを与えてしまいます。
必要以上に心配しすぎず「きっと大丈夫、きっと治る」というポジティブな前提を持って、その方が持つ本来の力を信頼してあげること。
それには支える側の人も、前向きな考え方を持つことが必要だと思います。
支える側の人ががんばるべきところはその部分じゃないかな、と私自身は強く思いました。
ということで、今日は会食恐怖症について知ることができる本を紹介しました。
本は、著者の考えや経験がある程度まとまった形で読めるところが魅力です。
もちろん本にも相性や前提がありますが、インターネット上の断片的な情報とは違い、ひとつのテーマを体系的に追いやすいと感じます。
これからも、役に立つ本を見つけたらご紹介していきますね。
RUISA